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  • 2008.05.10 Saturday
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決勝:渡辺 雄也 vs 有留 知広

By Daisuke Kawasaki

決勝戦

渡辺 「どちらかが事故とかそういうゲームだけは避けたいね」

試合開始前に渡辺が有留に声をかける。

互いに認め合う実力者同士。まさに、ミスターPWCの名前をかけて戦いあうにふさわしい相手。

だからこそ、内容をそれに見合うものを、ふたりは言葉に出さずとも、それをお互い確認しあっている。

準決勝は、デックパワーの優位もあって勝ちあがってきたふたりではあるが、しかし、それがデックパワーだけではないことも、ふたりは理解している。

Game 1

先手は有留。

1ターン目2ターン目と、着々とミシュラランドをセットしていく。

一方の渡辺は、《精神石/Mind Stone》を2枚でかさね、マナをのばしつつ、《祖先の幻視/Ancestral Vision》を待機するという、かなり理想的な展開をする。

そして、ここで有留の土地がストップする。渡辺も習うように土地が止まるが、すでに《精神石》を展開済みの渡辺には、十分なマナベースが確立されている。

渡辺は、有留のアップキープに《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant》をキャスト。ここで土地を戻されると展開の遅れ方が大きすぎると判断した有留は、これを《ルーンのほつれ/Rune Snag》でカウンターする。どちらにしろ有留の展開を阻害したかった渡辺にとっては、コレでも十分な結果。

お互い、1枚ずつ土地を引き当てる。渡辺の《裂け目翼の雲間を泳ぐもの/Riftwing Cloudskate》も《祖先の幻視》も《ルーンのほつれ》で打ち消し、2連続の《目覚ましヒバリ/Reveillark》想起も、《霊魂放逐/Remove Soul》《神秘の蛇/Mystic Snake》で打ち消していく有留。

相変わらず土地は4枚のままではあるが、先にクロックを展開できたぶんわずかに有利か。渡辺は、回答策を見つけるために、《精神石》をサクリファイスしてドローを進める。

そして、《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》。だが、ここにも無情に突き刺さる有留の《神秘の蛇》。

一気にクロックが倍化し、苦戦の渡辺。

しかし、ここで、やっと渡辺のカウンターを使い切らせるというプランが実を結ぶこととなった。

《目覚ましヒバリ》をキャスト…有留にカウンターは無し。そして、残ったマナを使い切って《一瞬の瞬き/Momentary Blink》…有留にカウンターは無し。

場に《熟考漂い/Mulldrifter》と《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》が戻り、場の均衡が一気に渡辺に傾く。

そして、フラッシュバックでさらに《目覚ましヒバリ》が《一瞬の瞬き》され、《造物の学者、ヴェンセール》と《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》で土地が2枚対象にされると、有留は音もなくすべての土地を手札に加え、そして山札に加えた。

渡辺 1-0 有留

シャッフルをする間、お互いの間に言葉はない。

異常とも言える緊張感の中、ギャラリーからすら言葉が失われた。

Game 2

先手の有留は2ターン目に《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》を、後手の渡辺は1ターン目に《祖先の幻視》を待機するスタート。

渡辺は更に追加して《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》を待機させる。

そして、ここで、有留はまたも土地がストップする。

渡辺のドロー後に、《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》をキャストする有留。ここに、渡辺は《ルーンのほつれ》をうつ。先ほどと、ちょうど逆の状況。

なんとか土地を引き戻し、《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》で渡辺の土地を戻して状況を五分に引き戻した有留ではあったが、しかし、続くアップキープには渡辺の《祖先の幻視》が待っている。

だが、これをカウンターした《神秘の蛇》にあわせるカウンターを渡辺は持ち合わせていない。先ほどと同じように、またも有留のクロックは倍化する。しかし、有留の土地は、また4枚のまま。

続く《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》には《霊魂放逐》をあわせる有留。《ルーンのほつれ》同士のカウンター合戦の後、《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》は墓地に置かれることとなる。

そして、ここでついに有留の場に5枚目の土地が。

有留は2マナを残して渡辺のドロー後に《ヴェンディリオン三人衆》をキャストする。これは、《ルーンのほつれ》でカウンターされるものの、渡辺は、有留のクロックへの対抗策を場に用意できない。

最後の抵抗として渡辺がキャストした《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》が《神秘の蛇》で打ち消されると、場のクロックがちょうど残りライフと同じになったことを渡辺は認識した。

渡辺 1-1 有留

ここで、会場の残り時間が30分を切る。

渡辺 「場所、移動しますか?」

しかし、残り30分で試合が終わると判断され、そのままGame 3が続行される。


有留
有留 「こんな名勝負を時間におわれてやるのもねぇ…」

名勝負。

これまで、いくつもの対戦を観戦させてもらってきた筆者も、幸運なことに名勝負と呼ばれる勝負に立ち会わせてもらえることが幾度かあった。

最初に渡辺は言った。「どちらかが事故とかそういうゲームだけは避けたいね」。だが、土地事故があったということと、名勝負にならないという事は必ずしもイコールではない。

例えば、2006年の日本選手権決勝のGame 3。土地事故に土地破壊を被される展開となったあのゲームだったが、しかし、あれは名勝負以外のなにものでもなかった。

そして、今、ここで繰り広げられる若い才能のぶつかり合いも、それ以外のなにものでもない。


Game 3

先手の渡辺はいつもの通りに1ターン目に《祖先の幻視》。有留も、いつものように淡々とミシュラランドを場にならべはじめる。

渡辺は4ターン目に《思案/Ponder》をキャスト。そして、《精神石》をキャストし、2マナをのこしつつターンを終了する。このターンエンドにキャストされる有留の《ヴェンディリオン三人衆》。いつもより早いクロックの登場。

三度目の正直、というべきか、有留は今度は4枚目の土地を順当にセットし、《祖先の幻視》を待機する。

渡辺は、2マナを残して《誘惑蒔き/Sower of Temptation》をキャスト。これに《霊魂放逐》をあわせていく有留。すでに先ほどの《ヴェンディリオン三人衆》で《ルーンのほつれ/Rune Snag》をライブラリーに送られてしまっている渡辺。カウンターはないはず…だが、ここでミスターPWCの意地がでる。

《否定の契約/Pact of Negation》。

これによって、自身のクロックが失われると同時に、渡辺の場には倍化したクロックが登場することになる。ダメージレースのゲームになるとふんだ有留は、《樹上の村/Treetop Village》でアタックする。

渡辺は、《契約/Pact》のマナを支払い、ターンを終了。場には2マナ。すでに、渡辺の手札の《一瞬の瞬き》を《ヴェンディリオン三人衆》で確認している有留にとって、この2マナは、非常に大きい。

有留は、ただ、青・緑それぞれのミシュラランドでクロックを刻むプランを選択する。これで、有留の土地はタップアウト。

渡辺も、マナを残し、2体のクリーチャーでビートダウンを決行する。

あまりにもタイトなゲーム。有留は深く息を飲む。

2体で殴る必要はないと判断し、このターンはマナを残すべく《樹上の村》だけでアタック。ここに渡辺が《造物の学者、ヴェンセール》を重ねてくる。有留は、これを《神秘の蛇》でカウンター。渡辺のライフは、6。有留の場のすべてのダメージを足すと、7点で、この《神秘の蛇》でちょうど足りる事になる。

渡辺はアタックできないはず。

だが、渡辺は果敢にアタックを敢行。そして、手札から解き放たれる《誘惑蒔き》。

有留は深く息をはいた。

長考の末に、渡辺はターンを終了する。

有留のターン。アップキープに、《祖先の幻視》の待機があけ、手札が1枚2枚3枚と増える。場を見ながら、有留は必死に策を練る。

有留はターンを終える。そして、それから策を弄する。

渡辺のアタックに対応しての《造物の学者、ヴェンセール》。これにたいして、渡辺は《造物の学者、ヴェンセール》をかぶせてくる。

有留は、これを《霊魂放逐》でカウンターする有留。渡辺はまたも《否定の契約》をキャスト。

しかし、《否定の契約》を使えるのは渡辺だけではない。有留も、また、《否定の契約》を打ち込む。

そして、《造物の学者、ヴェンセール》は場にあらわれる。《誘惑蒔き》を対象にして。渡辺は《誘惑蒔き》に《一瞬の瞬き》。少なくとも、有留は渡辺からのダメージを減らす事には成功した。

有留はアップキープに契約分のマナを支払う。そして、ドローを前に策を巡らす。今、ここから有留が逆転する策はいくつかある。だが、そのための手駒が足りない。

有留はライブラリーに手をかける。逆転の策を求めて。

しかし、カードを引いた後に有留に残された策は、土地を片付ける事だけだった。

渡辺 2-1 有留


渡辺雄也試合が終了し、決勝戦の間、席をはずしていた中村 修平と合流した渡辺は開口一番こういった。

渡辺 「みられていなくてよかったよ。テンパってミスしまくってた」

世界を舞台に戦いはじめ、大舞台も何度も経験してきた渡辺 雄也。

だが、そんな渡辺を、有留はギリギリまで追い詰めた。横で見ていても有留の持つ威圧感は恐ろしいほどのものだった。

ミスターPWCを決めるのにふさわしい名勝負。そして、これだけの名勝負の末のタイトルであることは、一方でミスターPWCというタイトルに価値をあたえた。

繰り返すが、断言したい。これは名勝負であった。そして、どちらが勝ってもおかしくはない勝負でもあった。



その勝負を渡辺が制した理由。

それは、やはり、これがミスターPWCを決める戦いであったからだろう。

おめでとう!渡辺 雄也!

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  • 2008.05.10 Saturday
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  • 23:32
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